心臓の鼓動が止まって数分たち、光を当てたり声をかけても何も反応がなくなった段階をもって天命を迎えたと判断されます。天命を迎えたあとの流れとして、家族がいる場合には面会をして最後のお別れの挨拶をします。挨拶が終わったあと、病院側の意向によるエンゼルケアが行われるのです。
エンゼルケアというのは、天命を迎えた人が生前のきれいな状態でいられるように化粧をするだけでなく、白装束に着替えさせたり、乾燥や腐敗防止などの死後処置を行ったりすることです。このエンゼルケアは主に担当していた看護師と経験がある人が行い、きれいな状態でお見送りをします。
そんなエンゼルケアですが、看護師以外に葬儀屋もサービスの一環として行っています。看護師が行うエンゼルケアは病院から退院するという意味合いが含まれており、きれいな身なりを整えて帰宅してもらうことを念頭に置いているやり方です。そのため、化粧は最低限に行い、その代わりにきれいな衣装への着替えと乾燥や腐敗をしないための処置を行うのが主な役割になります。
葬儀屋で行う場合のエンゼルケアは、最後の見送りとして家族だけでなくこれまで関係してくれた人たちに見送ってもらうことを念頭に置いて行われます。そのため、葬儀屋ではプロのスタイリストと契約をし、生気が宿るようなきれいな化粧や衣装を着替えさせて、最後のお別れに花を添えるというのが主な役割です。
看護師と葬儀屋の間でエンゼルケアの競合が起こるのでは…と問題視されることもありますが、双方には明確な違いがあるので問題はありません。