患者さんの最期の看取りについて

看取りとは、病人の最期のときを見届けることをいいます。医療経済研究機構の「要介護高齢者の終末期における医療に関する研究報告書」によると、日本は、病院で終末期を迎えて亡くなる方が全体の8割ほどと一番多くなっています。これは、国際的にみても高い数字です。病院に入院していた患者さんが最期を迎え、ご家族が呼ばれる、といったパターンが昔は多く見られました。
2010年に亡くなられた方は約110万人で、そのうち病院で亡くなられた方は約90万人です。これからの日本では、人口の多い世代が高齢化を迎え、2030年には1年で約166万人の方が亡くなると予測されています。しかし、国の機関では現在、病床数の削減を行っており、それにより今後は病院ではなく在宅で看取りを行うことが増えてくると考えられます。

在宅での看取りとはどのようなパターンがあるのでしょうか。
「最期は自宅で迎えたい」という方は多いのですが、自宅で看取られて亡くなるには、介護を担ってくれる人が必要です。元気な配偶者や子供がいるご家庭ばかりではありません。一人暮らしで自宅で最期を迎えたいという要望を叶えることはかなり難しいでしょう。介護をしてくれる家族がいる場合も、訪問診療を行う医師や看護師が必要になってきます。在宅型医療の体制には地域差が有り、整えられていないところも多いです。そのため、2030年では166万人中20万人弱の方が自宅で看取られるという予測が立てられています。
それ以外の在宅での看取りは、介護施設で亡くなるパターンです。2017年には、在宅の看取りの約半分は介護施設となっています。介護施設は自宅に比べて医療機関との連携により体制が整っていることから、今後は自宅での看取りとともに、介護施設で最期を迎える方も増えてくると予想されます。それにより、訪問看護や施設看護のニーズも高まりを見せることでしょう。これから看取り看護のケアに携わりたい方は、死後の処置を正しく行えるように、看護師が行うエンゼルケアの実情についてもしっかりと把握しておくことが大切です。